昨日、人形町を歩いていた時にふと耳にした一言です。
私が歩いている前方を70歳代後半に見える老夫婦が寄り添うように二人歩いていました。
お互いをいたわり合うように、後ろから見るとかばいあうようにも見えました。
1時過ぎていましたから明治座で芝居を見た帰りなのだと思いながら私はその二人の脇を追い越しました。
その時、奥さんの方が
「お腹いっぱいになっちゃった」
そう言ったんです。
その言い方がとっても可愛い言い方だったんですね。
後姿を見ずに、ただその声を聞いただけだったらおそらく20代か、30台前半の女性の言い方でした。
旦那さんに甘えているその気持ちがもろに伝わってくるような言い回しでした。
私自身が言われたわけでもないのに思わずニンマリするような言い回しなのです。
80歳代に手が届きそうな夫婦と思しきこの二人はまさしく恋愛中でした。
そして次の瞬間にうちの母親はこんな思いを抱いていたのだろうかと思いました。
そして、その思いを否定する自分。
さらに自分自身を振り返って、この先の夫婦関係はどうなっているんだろうと次々に考えが及びました。
家に帰ってからこの老夫婦の話を女房にも言いました。
女房は「女って本当にちょっとした事でもうれしいもんよ」
そんな風に言っていました。
トゲトゲシイことが多い昨今、この老夫婦二人の存在が久し振りにすがすがしい思いを抱かせてくれた一日でした。
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